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定期注文でお世話になっている弁慶丸のノ-トへのアップ記事です
日々の生活の中で、いつの間にか「慣れ」が生じてしまうことがあります。
仕事をスムーズに進めるための「慣れ」は役立ちますが、一方で、マンネリ化してしまうと注意力が薄れ、思わぬミスを招くこともあります。たとえば、細かい確認を怠ったり、必要な準備を省いたりすることで、予期せぬトラブルにつながることがあるのです。
私自身、漁に出る前の準備を怠り、痛い目を見たことがあります。ある日、船を出す前に底引き網の結び目をしっかり確認しなかったため、網を引き揚げた時に、魚が溜まる袋(モジ)の結び目がほどけていて、せっかく獲った魚がすべて逃げてしまいました。漁師の世界では、これを「モジとばし」と言います。
「モジとばし」は、実は若い漁師よりも経験を積んだベテラン漁師に多い傾向があります。なぜなら、経験を積んだことで「慣れ」が生まれ、確認を怠ることが増えるからです。長年の勘に頼って、「大丈夫だろう」という油断がミスにつながります。結果として、せっかくの漁が台無しになり、一日の労力がすべて水の泡になってしまう。まさに「慣れ」の落とし穴と言えるでしょう。
初めての体験を積極的に取り入れよう
こうしたマンネリ化から抜け出すには、意図的に行動に変化を加えることが必要です。ポイントは「初めて」の体験を積極的に取り入れること。例えば私の場合、ネット通販で鮮魚セットを作るときは、毎回「初めてのセットを作る」つもりで臨んでいます。
水揚げされる魚の種類はたいして変わらないものの、鮮度やサイズは日々異なります。人間にもそれぞれ個性があるように、魚一尾一尾にも個性が存在します。だからこそ、目利きを磨き、その日一番の魚を選び抜くことが大切です。魚を選ぶ瞬間は、ただの作業ではなく、まるで「宝探し」をしているような感覚。どんな魚に出会えるのかとワクワクしながら詰めていきます。
仕事を始めたばかりの頃は、毎日が刺激的で、ドキドキ・ハラハラの連続だったはずです。しかし、慣れてくると業務はスムーズにこなせるようになる反面、新しい挑戦が減り、好奇心も薄れていきます。
すると、次第に「成長体験」や「成功体験」を感じる機会が少なくなり、結果として自己肯定感が下がってしまうのです。これは、非常にもったいないことです。だからこそ、日常の中で意識的に自己肯定感を高めていくことが重要です。
たとえば「自分ってなんていい奴なんだ!」とちょっとした良い事をした後に声に出してみるのも効果的です。ちょっとした手助けや親切を積み重ねるのもいいでしょう。誰かに道を譲る、落ちているゴミを拾う、困っている人を助ける。そんな小さな行動でも「自分は良いことしたな」と感じられれば、それが自己肯定感を高め自信につながっていきます。
1日の中で自分なりによく出来た事をノートに書き留めるのも、自己肯定感を高める効果的な方法です。「成功の可視化」をすることで、「自分はこれだけのことを達成できた」と実感し、自信につながります。
「スリーグッドシングス」という言葉があります。アメリカの心理学者マーティン・セリグマン博士が提唱した幸福度を高める習慣で、毎晩寝る前にその日にあった「良かったこと」を3つ書き出すだけで、ポジティブな思考が強化され、ストレスが軽減されると言われています。この習慣を続けることで、日常の中でポジティブな出来事に目を向ける力が養われ、自己肯定感も高まります。
書く内容は些細なことで構いません。
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時間通りに起きられた
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忘れ物をせずに出かけられた
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赤信号でちゃんと立ち止まった
一見すると「そんなこと?」と思うかもしれませんが、意外とできていない人も多いものです。寝坊する人もいれば、忘れ物をして引き返す人もいる。そんな中で、自分はちゃんと出来たのだから、それは立派な「成功」です。こうした成功体験の小さな積み重ねが、確かな自信へとつながっていくのです。
心のシャッターチャンスを見逃すな(笑顔は余裕の表れ)
「成功体験につながるような行動なんてできないよ」——そう感じる人もいるかもしれません。そんなときこそ、「心のシャッターチャンス」を意識することが大切です。
毎日の通勤路やいつもの街並みの中で、ふと心が動く瞬間はありませんか?
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お昼休みに見上げた空が驚くほど澄んでいた。
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行きつけのカフェで注文したコーヒーの香りが、いつもより深く心に染み渡った
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休日に立ち寄った公園で聞こえる子どもたちの笑い声にほっとした気持ちになる
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こうした何気ない光景の中に「あ、なんだかいいな」と思える瞬間があるはずです。
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しかし、忙しい日々に追われていると、それらを見逃してしまいがち。心を動かす体験が減ると、モチベーションのスイッチも鈍くなってしまいます。だからこそ、自分の心が動いた瞬間をしっかりと焼き付けることが大切です。
自分がかつて成功した体験や感動した映画やドラマ・アニメのワンシーンを思い出すのも効果的です。私は自分の心が乾いているなと感じた時には、営業時代の表彰状のコピーなどを入れた、モチベーションを上げるための手作りページをよく眺めています。
中には、アニメの「あしたのジョー」の主人公・矢吹丈がリングコーナーの一角で真っ白な灰に燃え尽きているシーンや、アニメ「北斗の拳」のラオウが主人公・ケンシロウに敗れた後、「わが生涯に一片の悔いなし!!」と拳を天高く上げるシーンもあります。こうした場面を見返すことで、自分にスイッチを入れています。
「感動のスイッチ」は人それぞれです。どんな風景や出来事に心が動くのか、自分で探してみましょう。
「妄想大魔王」になれ!
子どもの頃、テレビのヒーローに憧れて変身ポーズを真似したことはありませんか?「自分もヒーローになれるかもしれない」と本気で信じ、全力でなりきったあの頃。しかし、大人になると、なぜかこうした「なりきる力」を封印してしまいます。
「そんなことをしたら恥ずかしい」
「どうせ自分にはできない」
そんな思い込みが、可能性の扉を閉ざしてしまうのです。まずはなりたい理想の自分や憧れている人物に今すぐに変身してみるのです。
時代は変わりました。今や、新しいツールを使えば、どんなことでもチャレンジできる時代です。例えば、81歳でスマホのゲームアプリを開発し、「世界最高齢のアプリ開発者」としてAppleのイベントに招かれた若宮正子さんのように。年齢制限すらも飛び越えられる時代です。
好奇心を取り戻し、自分の中の「妄想大魔王」を解放してみましょう。夢中になれることを探し、「自分にはできる」と信じること。それが、未来を切り拓く第一歩になるのです。
好奇心を解放し、自分の「やりたいこと」を見つける
「自分にはやりたいことがない」
「何に挑戦したらいいのかわからない」
そんなふうに感じている人も多いかもしれません。もしそうなら、まずは自分の「やりたいこと」ではなく、「やりたくないこと」を書き出してみるのも一つの方法です。
「満員電車に乗るのが嫌だ」
「単調な作業を延々と繰り返すのが嫌だ」
「人に指示されるばかりの仕事はしたくない」
こうして「やりたくないこと」が明確になると、その反対側に「本当はこうしたい」という願望が見えてくることがあります。例えば「満員電車が嫌」なら、「通勤のない働き方」や「自由な時間に仕事ができる環境」が理想かもしれません。
つまり、「やりたくないこと」を知ることは、「やりたいこと」を見つけるための手がかりなのです。
私の場合は、「やりたくないこと」は明確です。
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自分がドキドキ・ワクワクしない仕事はしない
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自分がドキドキ・ワクワクしない場所には行かない
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自分がドキドキ・ワクワクしない人とは付き合わない
「やりたくないこと」をはっきりさせることで、「やりたいこと」に自分の大切な時間を使えるようになるのです。
「領域の神」に愛されるために
仕事や人生において、努力を積み重ねる人のもとには「領域の神」が宿る。これはどんな職業にも共通する考え方です。野球選手が「野球の神様」に愛されるように、アーティストが「芸術の神様」に導かれるように、私たち一人ひとりの職場や仕事の中にも、その道を極める人を見守る「神様」がいるのではないでしょうか。
メジャーリーガーの大谷翔平選手も高校時代には、ゴミ拾いを習慣としていました。これは「運を引き寄せるため」という単純な考えではなく、「人としてどうあるべきか」を意識しての行動だったといいます。
挨拶をする人が周囲に好印象を与えるように、ゴミ拾いも周囲との関係を築くための大切な行動。結果として、それが「運を引き寄せる」ことにつながったのです。大谷選手は「運は実力の範囲内」とも語っており、短期的には不運な出来事があっても、長期的に見れば日々の積み重ねが報われると考えています。
つまり、誠実な行動を続けた先にこそ、運や「神様の微笑み」は宿ると言えるでしょう。
私自身、営業マンだった頃は「住宅営業の神様」に愛されるために、モデルルームをピカピカに掃除していました。ただ綺麗にするだけではなく、「ここを訪れたお客様が気持ちよく過ごせるように」という思いを込めていました。すると、自然とお客様とのいい出会いに恵まれ結果的に営業成績も上がっていったのです。
漁師になった今、私が向き合う「神様」は「海の神様」です。漁に出たときに海底から引き揚げたゴミはきちんと持ち帰る。自分が消費したお弁当のゴミやペットボトルも決して海に捨てない。小さな魚は逃がし、魚の命を頂いて生計を立てていることに感謝する。そういった行動を積み重ねることで、私は「海の神様」に愛されていると感じています。
どんな仕事にも、「その道を極める者に微笑む神様」がいる。汚したり犯してはいけないサンクチュアリ(聖域)があるのです。その神様に振り向いてもらえるかどうかは、どれだけ本気で仕事に向き合い、誠実に努力を積み重ねられるかにかかっているのではないでしょうか。
「領域の神様」に振り向いてもらえるかどうかは、どれだけ本気で仕事に向き合い、誠実に努力を積み重ねられるかにかかっているのではないでしょうか。